JLTA Web Tutorial
Assessing Listening
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2つめの大きな柱として,受験者にどのようなテキスト(マテリアル)を提示するか,が挙げられます。テストの内容妥当性や波及効果を高めるために,テキストはできるだけ詳細に規定しておいた方がよいと考えられます(Hughes, 2003, p. 162)。これらの項目はリーディングと重複するものもありますが,速度や方言,発音などリスニング独自の項目もあります。

 速度に関しては,1分当たりの語数 (wpm: words per minute) の他に,秒あたりの音節数 (sps: syllables per second) で表すこともあります。Hughes (2003) で引用されている Tauroza and Allison (1990) のブリティッシュ・イングリッシュのサンプル調査では,ラジオのモノローグ (160wpm, 4.17sps),会話 (210wpm, 4.33sps),インタビュー (190wpm, 4.17),非母語話者対象の講義 (140wpm, 3.17sps) が平均速度として報告されています。

 また速度と聴解の関係を調査した研究 (Griffiths, 1992) では,低速 (約127wpm, 約2.5sps),中速 (約188wpm, 約3.8sps),高速 (約250wpm, 約5.0sps) の3つの速度のテキストの理解度を調査したところ,初級者から中級者にかけては,速度が遅いとテキストの理解が上昇するが,その他の速度では変わらなかったと報告しています。

 速度よりもポーズの方が聴解に影響を及ぼす (e.g., Blau, 1990) 等の結果も考慮すると,テキストの選定においては,語彙レベルやトピックのほか,音声的な特徴についてもできるだけ詳細に調べておく必要があります。