例えば,Bax(2013)はIELTSのリーディング問題を受験している最中の学習者の視線を計測することで,正答者と誤答者とで読みのプロセスにどのような差異があるのかを比較した。その際,視線計測データの解釈をより妥当なものとするために,回想的な思考発話法も併用した。分析の結果,パッセージ中の特定の情報を探せば解けるような易しい項目では,正答者は誤答者よりも短時間でパッセージ中の該当箇所を見つけることができていた。一方,推論を働かせながら読まなければ解けないような難しい項目では,正答者は解答の手掛かりとなる情報を長時間注目しており,誤答者の読みのパターンとの違いが明確になった。